自社製品やサービスに興味や関心を持ってくれそうなユーザーに広告を配信したい、という広告主は多いでしょう。そこで、おすすめしたいのがDSP広告です。「DSP広告という名称は聞いたことがあるけれど詳しくわからない」、「どのような仕組みになっているのか知りたい」という方のために、DSP広告の仕組みについて解説します。おすすめのDSP広告サービスもご紹介するので、参考にしてください。
目次
1.DSPとは
DSPとは、Demand Side Platformの略称で、広告効果の最適化を目指すプラットフォームです。「広告を出したい」「広告出稿の費用対効果を高めたい」という、広告主のためのサービスになります。DSPが広告の発注側であるのに対して、広告の受注側をSSPと言います。SSPとはSupply Side Platformの略称です。SSPは「広告枠をなるべく高く買ってもらいたい」という媒体(メディア)側のプラットフォームになります。DSPとSSPは対の関係性であり、どちらか片方だけでは広告を配信することはできません。
2.DSPの仕組み
インターネットやスマートフォンが普及することによって、広告主のニーズは「アプローチしたいユーザーに、必要最低限のコストで過不足なく広告を配信したい」という気持ちが高まっています。そこで、工数の負担を減らすため、効率的に広告配信ができるDSPやSSPが開発されました。DSPは下記のような仕組みで広告が配信されます。
1:ユーザーが広告枠のあるサイトを訪れる
2:ユーザーが訪れたサイトがSSPに広告リクエストを行う
3:SSPはいくつかのDSPにオークションを行うようリクエストを行う
4:各DSPによる入札結果がSSPに送信される
5:落札したDSPの情報がユーザーが訪れたサイトに送られる
6:ユーザーが訪れたサイトがDSPに広告配信のリクエストを送る
7:DSPからユーザーが訪れたサイトへ広告が配信される
3.DSPとアドネットワークの違い
DSPと混同されやすいのがアドネットワークです。アドネットワークとは、複数の広告枠を束ねる広告配信ネットワークであり、有名なアドネットワークにはGDN(Googleディスプレイネットワーク)があります。こちらでは、DSPとアドネットワークとの違いについて解説します。
3-1 広告配信面
アドネットワークとは、Webサイト、ブログ、SNSなど、複数メディアの広告枠を束ねているネットワークなので、複数の媒体に広告配信することが出来ます。一方、DSPは広告媒体でもアドネットワークでもなく、広告配信をワンプラットフォームで管理できる「ツール」という位置付けです。DSPはあくまでもツールであるため、広告枠を持っていません。
3-2 ターゲットの確保対象が違う
アドネットワークは広告面が確保できるのに対して、DSPはターゲットにしたい人を確保できているという特徴があります。例えば、子供服の広告を出稿したい場合、アドネットワークでは「ファッション系のカテゴリ」に出すという選択ができますが、DSPは「子供服に関心のある女性」というように、広告を見て欲しいターゲットの属性に絞って広告配信ができるツールです。アドネットワークは配信先の「媒体」、DSPは配信先の「人」とイメージするとわかりやすいかもしれません。
3-3 ほぼ設定不要/運用の調整方法が違う
アドネットワークはGDN(Google AdSense)など、アドネットワークごとに独自の配信設定やターゲティング方法があります。目的に応じた使い分けができます。その一方で、アプローチしたいターゲット層や広告を配信したい媒体が異なる場合は、複数のアドネットワークに出稿する必要があります。細やかに手を加えて微調整をしやすいというメリットがありますが、自分で運用しなければならないというデメリットもあります。
一方でDSP広告は、ほぼ自動化されており、アドネットワークに比べると手間が掛かりません。学習機能が優れており、効率の良い配信ができます。ただし、細やかな運用調整はできないという点がデメリットと言えるでしょう。また、DSPを取り扱う企業によって連携している配信先(アドネットワークや媒体)が異なるので、同じターゲティング設定でも、広告が配信されるユーザーに差が出てしまうこともあります。
4.DSPを利用するメリット
DSPを利用することによって、どのようなメリットが得られるのかチェックしてみましょう。こちらでは、DSPの大きな2つのメリットについて解説します。
4-1 興味関心の高いユーザーに配信できる
DSPでは、ユーザーのCookie*を利用したターゲティング配信が可能です。ユーザーの性別・年齢・趣味・興味・サイトの訪問履歴などを基に最適化して、広告が配信できるというメリットがあります。自社の商品やサービスに興味・関心のある「成果につながりやすいユーザー」「自社商品やサービスのペルソナに近い人」「狙いたいターゲット層」などに対して効率的に配信できます。
*Cookie
WebサイトやWebサーバーにアクセスした人の情報を、ブラウザに一時的に保存するための仕組み
4-2 類似ユーザーへの広告配信ができる
DSPでは、すでにコンバージョン*した顧客と「似た属性を持っているユーザー」や、「似たような行動を取ったユーザー」である「類似ユーザー」を狙って広告配信できます。類似ユーザーは基本的に新規ユーザーとなりますが、コンバージョンしたユーザーに近い属性を持っているため、通常のターゲティングよりも運用効果を得やすいという点がメリットです。類似ユーザーへ広告配信することによって、顧客の増加や売上向上が期待できます。
*コンバージョン
Webサイトにおける「購入」「資料請求」「問い合わせ」などの最終的な成果
5.DSPを利用した時のデメリット
DSPを利用すると興味関心の高いユーザーや類似ユーザーを狙って広告配信ができるメリットがあります。しかし、デメリットも当然あるので、デメリットをよく理解したうえで広告を配信しなければなりません。
5-1 広告の配信先がわからない場合がある
アドネットワークでは、どの掲載先からコンバージョンが発生したのかを確認できますが、DSPの場合、サービスによっては配信先の情報が公開されていないことがあります。広告の配信先が自社商品と全く関連のないジャンルだったとしても、掲載先がわからないため、改善ができないというケースが発生してしまうことも考えておかなければなりません。また、ブランドイメージを損ねる媒体に掲載されていたとしても、気づけないというデメリットもあります。掲載先がわからないというデメリットを防ぐには、配信先が開示されているDSPを選ぶことが大切です。
5-2 DSP広告サービスによって効果に差が出る場合がある
DSP広告サービスはさまざまな会社が提供しており、それぞれ特徴が異なります。ターゲティング、広告の提携先、広告在庫数、レコメンド機能の有無などに差があるため、広告効果にも差があることを理解したうえで選ばなければなりません。
6.おすすめのDSP広告と特徴
DSP広告を検討している方のために、DSP広告を提供している6つのおすすめサービスをご紹介していきます。それぞれ接続先のSSPや特徴が異なるので、DSP導入を検討される際の参考にしてください。
6-1 FreakOut
FreakOutは、株式会社FreakOutが運営するDSP広告サービスです。2010年10月に設立し、2011年に国内初のDSPをリリースしました。国内で大きなシェアを占めており、強固なネットワークとセキュリティ面への安心感から、根強い人気があります。FreakOutのDSPは、MicroAd COMPASS、Yahoo!アドエクスチェンジなど、接続先のSSPが豊富で広告在庫数が多いのが特徴です。
認知・興味・検討・購買と消費者の行動プロセスに合わせた広告配信を実現し、位置情報やメディアデータなど、利用可能なオーディエンスデータ数が約4億あるとも言われています。リーチボリュームが大きいので、認知度向上やリターゲティングの効率化も期待できるでしょう。
配信をコントロールできるアドベリフィケーション機能が充実しているため、広告の内容とそぐわないメディアに配信されてしまうなどの心配がなく、安全に広告を配信することが可能です。課金形態は、CPM課金*1とCPC課金*2の二種類から選べます。
FreakOutの詳細はこちらをご覧ください。
*1 CPM課金…クリックされる度に広告費が発生する課金方法
*2 CPC課金…表示回数(インプレッション)が1,000回に達するごとに広告費を支払う課金方法
6-2 MicroAd BLADE
MicroAd BLADEは、サイバーエージェントのグループ会社であるマイクロアドが運営しています。国内トップクラスのシェアを誇るDSP広告プラットフォームです。D2C、AdStir、Google Ad Managerなど、接続先のSSPが豊富で広告在庫数が多く、国内の有名なSSPやアドエクスチェンジとほぼ提携していると言っても過言ではないでしょう。
ユーザーの属性や行動履歴のオーディエンスデータを国内最大規模で保有する「MicroAd PIXEL」と連携しており、幅広いアプローチが可能です。様々な広告の出稿形態に対応しており、PCやスマホ以外にもデジタルサイネージ*などにも対応しているというのが特徴です。課金形態は、CPM課金と完全予算型に対応しており、最低出稿金額は月70万円となっています。
MicroAd BLADEの詳細はこちらをご覧ください。
*デジタルサイネージ…駅や百貨店などに設置されている液晶ディスプレイ
6-3 クロスリスティングDSP
クロスリスティングDSPは、株式会社クロスリスティングが運営するDSP広告プラットフォームです。キャリアポータルである「au関連サービス面」への優先配信が可能となっており、国内主要SSPとの接続はほとんど網羅されています。大量の検索データを保持するクロスリスティングDMPと、連携している検索広告に特化した「サーチリターゲティング広告」が特徴です。以下のような柔軟なターゲティングが可能となっています。キーワードを軸としたターゲティングのため、購買意欲が高いユーザーやニーズが顕在化しているユーザーへの配信が可能です。
・教えて!gooデータの活用
クロスリスティングが保有するQAサイトの閲覧行動を元にしたターゲティング。
・キャリアデータ
大手携帯キャリアの契約者情報に基づいた、精度の高いターゲティング。年代・性別・居住地・課金情報・アプリの利用状況などを組み合わせて、任意のユーザー層へ配信できる。
・楽天(3rd Partyデータ)
1億1,400万IDを超える楽天会員データ・楽天市場の閲覧・購買履歴・商品ページまで訪れた来訪履歴を基にしたターゲティング。
・サーチリターゲティング
ユーザーの検索キーワードを基に、購入意欲・ニーズの顕在・潜在など具体的なターゲットセグメントを作成できる
クロスリスティングDMPの詳細はこちらをご覧ください。
6-4 Logicad
Logicadは、ソニーグループの優れた技術から開発された国産DSPです。Google Ad Managerをはじめとする国内外の各SSPと接続しており、PC約1,050億imp、SD約1,910億imp、APP約730億impなど、国内最大級の在庫*を保有しています。
大規模な配信ログ、オーディエンスデータを高速かつ安定的に処理することが可能なシステムインフラを備えています。人工知能「VALIS-Engine」によって、Logicadの膨大なデータを分析し、広告効果を改善することが可能です。また、配信ドメインを全て開示し、制御機能によって不適切な掲載先を除外できます。初期費用は掛からず、CPM課金となっています。
Logicadの詳細はこちらをご覧ください。
*参考:Logicad「Logicad接続先ネットワーク一覧」
6-5 Criteo
Criteoは、フランスに本社を置くCriteo社が提供するDSPサービスです。Googleに次ぐ世界2位のネットワークの広さを持ち、国内ユーザーの9割以上にリーチできるという理由から、DSPサービスの中でも高い人気を誇っています。国内の主要サイトをカバーしており、Yahoo!ニュースなどにも配信できる点が魅力です。
Criteoは、様々な広告のレイアウト、配信サイズ、ボタンの配置、の配信フォーマットを持っているのが特徴と言えます。配信フォーマットは約17兆通りあり、CriteoのAIで最適な広告バナーを提供します。また、Criteoは膨大なユーザーデータを活用し、ダイナミックリターゲティングが利用できる点が強みです。
Criteoで配信するには、サイトの訪問者数が1日1,500、もしくは月間4万ユニークユーザー(UU)以上でなければならないという条件があります。また、最低実施予算として50万円が必要です。課金方式はCPC課金となります。
Criteoの詳細はこちらをご覧ください。
6-6 KANADE DSP
KANADE DSPは京セラコミュニケーションシステム株式会社が提供するDSPサービスでしたが、現在は新会社であるデクワス株式会社が運営しています。広告主と相談しながら運用を行うので、サポート体制が手厚いというのが特徴です。広告配信先となるAdEX、SSPとの接続数は国内トップクラスで、AIを利用して膨大なデータから適切な入札戦略を自動的に決定します。KANADEには、ブランド認知からコンバージョンまで、以下の3段階の配信メニューがあります。リターゲティングだけではなく、新規顧客を獲得したい方におすすめです。課金形態はCPM課金となっています。
・プロファイルターゲティング……新規ユーザー向け
・オーディエンス拡張……優良顧客に類似した新規ユーザー向け
・パーソナライズリターゲティング……既存ユーザー向けのリターゲティング
KANADE DSPの詳細はこちらをご覧ください。
7まとめ
DSPはアプローチしたユーザーに効率良く配信できる魅力的なツールです。今回は、アドネットワークとの違いやDSPのメリット・デメリットについて解説しました。DSPは、成果につながりやすいユーザーや類似ユーザーへ広告配信したいときにおすすめです。DSP広告サービスについてもご紹介したので、ぜひ導入の参考にしてください。

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