日常的にインターネットを活用するようになり、Webメディア、SNS、メールなどに掲載するWeb広告が主要なプロモーションツールとして活用されるようになりました。Web広告のメリットは、多くの人へ向けて広告を配信できることです。さらに、Web広告には効果を解析しやすいというメリットもあります。解析結果を踏まえてキーワード、LP、配信方法などを見直せば、Web広告の効果を高められるのです。
Web広告の効果解析では、多角的な視点でのアクセス解析が欠かせません。また、費用対効果の計算も必要です。ここでは、Web広告の解析について、チェックポイントとともにご紹介します。
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1.Web広告は配信後の解析が重要
どのような広告であっても、広告費を上回る効果が出なければ成功と言えません。効果を解析した結果、期待する効果が得られない場合は、早急に広告の内容や運用方法を改善する必要があります。Web広告も同様に、広告配信後の解析が欠かせません。
テレビや新聞、街頭の看板などに表示される一般的な広告に比べると、Web上でデータを収集できるWeb広告は迅速な解析が可能です。また、Web広告はキーワード、ターゲット、配信媒体、クリエイティブ(バナー、文字、動画などの素材)を変更しやすいため、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」というPDCAサイクルを回しやすくなります。
Web広告ならではのメリットを最大限に活用し、配信後の定期的な解析と、広告の内容や運用方法の改善を続ければ、より大きな効果を得られるのです。
Web広告の運用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
2.Web広告の解析の手順
Web広告の解析に決まった手順はありません。目標によって解析すべきデータも変わるため、「何を解析しなければならないのか」によって最適な手順は異なります。しかし、どのような解析にも活用できる基本的な3つの手法がありますので、ここではそれらを用いた解析手順をご紹介します。
2-1.Web広告の解析の手順1.時系列をもとに解析
時系列にもとづく解析では、時間の経過に沿ってデータの増減を追い、効果や傾向を分析します。Web広告の解析において最も基本的な手法と言えるでしょう。
時系列解析では、最初にクリック数やインプレッション数、コンバージョン数などを時系列で可視化し、次に各々の数値の関連性を分析します。クリックされやすい時間帯、曜日などが把握でき、より的確な配信タイミングを選べるようになるのです。また、広告の効果には、その時のトレンド、季節などが影響することも少なくありません。時系列解析を行うと、このような傾向も把握しやすくなります。
新たな広告を配信した時はもとより、広告設定やLPの内容などを変更した時も、時系列解析で変更前後1か月ほどは効果を比較した方が良いでしょう。
2-2.Web広告の解析の手順2.ユーザーの導線を解析
Web広告の効果について時系列での解析を行ったら、広告に興味を示して実際にクリックをしたユーザーの導線を解析します。Web広告におけるユーザーの導線とは流入経路を指し、例えば広告をクリックしたサイトや検索語句などが導線の解析の対象となるのです。ユーザーの導線を解析すると、配信した広告でターゲットを引き込めているかを判断できます。
また、ユーザー行動の解析では、最終的にユーザーが取った行動、つまり「動線」も含めましょう。ユーザーが最終的に取る行動は、「コンバージョン」と「サイトからの離脱」の2種類です。コンバージョン率が高い場合、現在の広告はターゲットユーザーに適していると言えます。しかし、離脱率が高い場合は、広告の設定や誘導先のコンテンツなどを見直すべきです。
2-3.Web広告の解析の手順3.コンバージョンの属性を分析
ユーザーの導線を解析したら、コンバージョンに結びついたユーザーの分析を行います。この解析における具体的な対象は多岐に渡り、主なものとしては「ユーザーが使用したデバイス」「閲覧した広告」「アクセスした時間帯」「居住地域」「年齢」などが挙げられます。これらを分析すると、コンバージョンユーザーの特徴を掴みやすくなり、広告設定や効果測定に用いる指標などの改善に役立てられるのです。
そのため、この分析前には、コンバージョンユーザーのペルソナが明確化されている必要があります。また、このコンバージョンユーザーの属性については、個人の属性よりも全体的な傾向を可視化することを重視し、より多くのデータを収集しましょう。
3.Web広告の費用対効果の計算方法
Web広告を出稿する際は、少なからず費用がかかります。費用以上の効果が得られなければ、広告を出しても赤字になってしまうでしょう。そのため、Web広告の解析では、広告費に該当する掲載費や作成費などの総額を正確に把握した上で、費用対効果の計算を行います。
Web広告の費用対効果で用いる指標は、「ROI」「CPA」「CPO」「ROAS」などです。ここではこれらの概要や計算方法、Web広告でこれらを算出する目的などを解説します。
3-1.Web広告の費用対効果の計算方法1.ROI
ROIとは「Return on Investment(投資利益率)」の略語で、投資額に対して得られた利益額の割合を表す指標です。ROIの計算方法は「利益額÷広告費×100」、結果は「%」で示します。
Web広告の出稿時には、掲載費や広告の作成費などのさまざまな費用が発生しますが、ROIではそれらを差し引いた利益ベースで費用対効果を算出します。広告の実質的な効果が数値化されるので、広告の採算性を判断しやすくなるのです。
3-2.Web広告の費用対効果の計算方法2.CPA
CPAとは「Cost Per Acquisition(顧客獲得単価)」の略語で、1件のコンバージョンを獲得する際にかかった広告費を表す指標です。CPAの計算方法は「広告費用÷コンバージョン数」、結果は「円」で示します。
CPAが高いほど、1件のコンバージョンを獲得するのに多くの費用がかかっていることを意味します。CPAからコンバージョンの獲得効率を把握できるため、どの広告へ予算を集中させるべきかを判断しやすくなるのです。複数の広告を出している場合は、広告ごとのCPAを比較し、よりコンバージョンにつながりやすい広告の表示頻度を増やすという方法もあります。
CPAを下げるには、CPC(クリック単価)を下げつつ、コンバージョン数を上げる施策が必要です。1回広告がクリックされるたびにCPC、つまり広告費用が発生するため、CPCが高すぎる広告はコンバージョン数が多くてもCPAが下がりにくくなります。また、クリックはされるもののコンバージョンに至らない広告の場合もCPAが高まります。コンバージョンにこぎつけられないということは、ターゲット設定や、クリエイティブ、LPなどに問題があるのかもしれません。コンバージョン数が伸びない場合は、これらの点を見直すことを推奨します。
3-3.Web広告の費用対効果の計算方法3.CPO
算出する際に用いられるのが「CPO」です。CPOは「Cost Per Order(注文獲得単価)」の略語で、1件の受注に費やした広告費を表す指標です。CPOの計算方法は「広告費÷受注件数」、結果は「円」で示します。
CPOが高いほど、1件の注文を獲得するのに多くの費用がかかっていることを意味します。CPOを算出すると、受注効率の高いWeb広告を中心に運用でき、費用対効果を高められます。
また、「限界CPO」も同時に計算しておきましょう。これは注文獲得単価の上限値、つまり1件の注文獲得にかけられる費用の限界を意味します。計算式は「LTVー(広告費や原価などを除いた費用÷総顧客数)」です。LTVについては後述します。この限界CPOも指標に含めておくと、Web広告の採算割れを防ぎやすくなるのです。
3-4.Web広告の費用対効果の計算方法4.ROAS
ROASとは「Return On Advertising Spend(広告費用対効果)」の略語で、広告に対してどれくらいの売上があったのかを表す指標です。ROASの計算方法は「売上÷広告費×100」、結果は「%」で示します。
ROASは売上ベースで費用対効果を把握できることから、商品を販売するECサイトなどで「配信した広告の採算性を測る」「広告の効果を予測する」などの目的で用いられる傾向にあります。
ROASが高い広告は、費用対効果が高い広告と捉えて問題ありません。ただし、利益が出るかは別の話しです。ROASの計算では、商品の原価を差し引いていない金額を用いるため、原価が高い商品ほど利益率が低くなります。そのため、ROASも広告の有用性を判断する材料の一つではありますが、基本的には利益率を把握できるROIなどと併用します。
広告の採算性を測るために、「ROASの下限値」も定めておくと安心です。計算式は、損益分岐点を求める「平均顧客単価÷(平均顧客単価ー平均原価)×100)」、結果は「%」で示します。例えば、平均顧客単価が5万円、平均原価が2万円の商品であれば、ROASの下限は166.6%ほどです。この商品では、Web広告のROASが166.6%を下回ると赤字になることを意味します。
4.Web広告の解析のチェックポイント
前述の3つの手順や4つの指標を活用すれば、基本的なWeb広告の解析が行えます。しかし、基本的な解析では表面化しない要素も少なくありません。例えば、まだコンバージョンには至っていないが、広告で意欲が十分に高まっているユーザーもいます。このようなユーザーへの後押しが必要です。また、1度コンバージョンしたカスタマーをロイヤルカスタマーへ育てれば、長期的な利益を確保できます。このような視点を含めて、Web広告解析のチェックポイントを解説します。
4-1.Web広告の解析のチェックポイント1.間接効果を考慮できているか
Web広告を配信した際に、直接コンバージョンに結び付かなくとも、「間接効果」をもたらしている場合があります。間接効果とは「アトリビューション」とも呼ばれ、その広告からのコンバージョンには至っていないが、結果的にコンバージョンへ貢献することです。例えば、商品のWeb広告を見たユーザーの多くは、複数のサイトで販売価格を比較して数日後に購入します。つまりWeb広告がアシストクリックとなり、間接的にコンバージョンへ導いたと言えるのです。
一般的なWeb広告の解析ではこのような間接的コンバージョンを含まず、直接的なコンバージョンのみを対象とする傾向にあります。しかし、特に複数のメディアで同じ広告を配信している場合、上記のような間接効果を含めて考慮しないと、各広告の正確な広告効果を把握できないでしょう。
このような間接効果を高める方法として「リターゲティング広告」が挙げられます。これは、一度Webサイトへ流入したがコンバージョンに至らなかったユーザーへ配信する広告です。一度は商品やサービスに興味を持ったユーザーを対象にするため、再度広告を目にすればコンバージョンへの意欲を高めやすくなります。
4-2.Web広告の解析のチェックポイント2.各媒体のLTV
Web広告の解析では、「LTV」も意識する必要があります。LTVとは「Life Time Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれる指標です。LTVの計算方法は「1回の購入あたりの平均購入数×年間の平均購入回数×平均の継続年数」、結果は「円」で示されます。
つまり、LTVでは自社の商品を購入した顧客から、今後どれくらいの利益を見込めるかを計算するのです。LTVの数値が増大するほど優良顧客が多いことを意味し、長期的な利益の確保が期待できます。そのため、LTVは近年のマーケティング戦略において重視される指標の一つです。
Web広告の解析では、LTVを広告や媒体ごとに算出することが大切です。例えば、複数のサイトで同じWeb広告が表示されている場合、サイトごとのLTVを算出します。LTVが高いサイトにコンバージョン率が高い広告を掲載すれば、さらにLTVを向上させられるでしょう。
4-3..Web広告の解析のチェックポイント3.出稿媒体にターゲットはどれくらいいるのか
Web広告の解析では、配信した媒体にターゲットユーザーがどれくらいいたのかを確認しておきましょう。ターゲットユーザーが豊富だったにも関わらずコンバージョン率が低い場合は、広告運用方法に問題があったと考えられるからです。
例えば、スポーツ用品の販売を目的とする場合、サッカーや野球などのスポーツ情報を発信するWebサイトであれば、広告に興味を持つターゲットも多いでしょう。一方で、スポーツとは全く関係のない情報を取り扱うサイトで広告を配信した場合、そもそも関心を示すターゲットが少なく、コンバージョン率が下がりやすいのです。
Web広告の出稿前にユーザー層を調査したとしても、短期間でメインユーザーの属性が変動する可能性があります。そのため、解析時に広告の解析期間におけるターゲットのボリュームを確認するべきです。
4-4..Web広告の解析のチェックポイント4.ターゲットは明確か
Web広告の効果を最大化するためには、ターゲットを明確かつ的確であるかも大切です。一般的なマーケティングでは、「ペルソナ」という詳細なターゲット像を作成し、「年齢」「性別」「居住地域」「家族構成」「趣味」などの属性に加えて、コンバージョンまでの心理や思考、行動なども定義します。Web広告においても、このペルソナをベースに配信時間、内容、媒体などを検討するのです。
例えば、「大学生2年生で授業後に接客業のアルバイトをしている20歳の女性」をペルソナにした場合、InstagramやTikTokなど若年層ユーザーの多いSNSで、大学の昼休みや夜間などの時間帯を狙ってWeb広告を出稿すると効果が高まるでしょう。
このペルソナが実際のターゲットとかけ離れていると、Web広告の効果が下がりかねません。ターゲット像から詳細なペルソナを作成し、最適な広告設定で配信する必要があります。
5.まとめ
複数の媒体でスピーディーに一斉配信ができるWeb広告は、Webマーケティングにおいて必須と持言える手法です。しかし、配信するからには広告費以上の効果を出すことが求められます。そのため、Web広告の分析では、ROI、CPA、CPO、ROASなどの指標を用いて定期的に費用対効果を計計算することを推奨します。
これらの指標は、Web広告代理店へ運用を依頼する際にも必要となります。また、指標の活用方法や管理方法に迷ったら、Web広告のコンサルティングを受けるのもおすすめです。
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Writer GMSコンサルティング編集部 マーケティング部
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