自社の広告をユーザーの多いSNSに掲載してみたいと思われる担当者は多いでしょう。そこで、今回はSNS広告の費用や課金形態をはじめ、各媒体の費用相場について解説していきます。さらに、SNS広告で費用対効果を高める方法についてもご紹介します。
目次
1.SNS広告とは
SNS広告とは、Instagram、Facebook、LINE、Twitter、Tiktokなどに代表されるSNSの利用画面に表示される広告です。例えば、InstagramやTwitterのフィード欄には、フォローした人の投稿のほかに、広告が表示されます。SNSは多くの人に利用されているため、ほかの媒体に比べてより多くの広告が届けられるというメリットがあります。またテキスト・画像・動画も利用可能で訴求力が強いのが特徴です。広告が表示される場所はSNSによって異なるので、広告掲載先別の効果や費用の仕組みを理解し、自社の目的に合ったSNS広告や掲載方法を選ぶことが大切です。
2.SNS広告の費用と課金形態
SNS広告の費用は、SNSの種類や課金タイプで異なります。SNS広告の代表的な課金タイプとして、以下の6つが挙げられます。
2-1.インプレッション課金(CPM)
インプレッション課金は、CPM(Cost Per Mille)とも呼ばれる課金方式です。広告の表示回数に応じて料金が発生します。一般的に、広告が1,000回表示されるごとに費用が掛かります。1,000回表示されて1回クリックされる場合も、1,000回クリックされる場合も、掛かる費用は同じです。「いいね」などのアクションが発生しても、追加の費用は発生しません。Instagram広告、Facebook広告、LINE広告、Twitter広告、Tiktok広告などのSNSで採用されている課金方式ですが、SNSの種類によって費用は異なります。多くの人の目に留まりやすい、クリック率が高くなってもコストが変わらない、クリック率が高いほど単価が割安になるなどのメリットがあります。しかし、クリック率が低くてもコストが掛かってしまう、ターゲット以外のユーザーにも表示されて費用がかさむことがあるという点がデメリットです。
2-2.クリック課金(CPC)
クリック課金は、CPC(Cost Per Click)とも呼ばれる課金方式です。広告が1回クリックされるごとに、料金が課金されます。ページが何回表示されたとしても、クリックされない限りは課金されません。クリック課金もインプレッション課金同様、Instagram広告、Facebook広告、LINE広告、Twitter広告、Tiktok広告などのSNSで採用されています。クリックに応じて費用が掛かることから、費用対効果がわかりやすいという点はメリットです。しかし、関連性の低いユーザーからクリックされたり、誤ってクリックされたりしても課金されてしまうという点はデメリットといえるでしょう。
2-3.動画再生時間課金(CPV)
動画再生時間課金は、CPV(Cost Per View)とも呼ばれる課金方式です。配信した動画広告が一定時間再生されると課金されます。課金される再生秒数は媒体によって異なります。例えば、Facebookの動画再生時間課金の場合は、15秒経過毎に課金される仕組みです。動画が長時間視聴されると追加の費用が掛かる方式が一般的です。動画広告のため視認性が高く、静止画やテキストよりも多くの情報を伝えられる点がメリットといえるでしょう。動画でPRできるため、ユーザーの理解度にズレが生じにくく、注意を引きやすくなります。しかし、静止画やテキストに比べてクリエイティブ制作に時間やコストが掛かる点がデメリットです。
2-4エンゲージメント課金(CPE)
エンゲージメント課金は、CPE(Cost Per Engagement)とも呼ばれる課金方式です。ユーザーがSNSにおける「いいね」や「リツイート」などの行動(エンゲージメント)を行ったときに課金されます。エンゲージメント課金は、Twitter広告およびFacebook広告の「投稿に対するエンゲージメント」で採用されています。エンゲージメントによって、ユーザーが企業に興味を持つようになる点や、ユーザーと企業のコミュニケーションが深められる点がメリットです。しかし、明確なコンバージョンが狙いにくいというデメリットがあります。
2-5.インストール課金(CPI)
インストール課金は、CPI(Cost Per Install)とも呼ばれる課金方式です。ユーザーが広告をクリックすると、App StoreやGoogle Playストアなどのページに飛ぶようになっています。ユーザーがアプリをインストールした場合に課金される仕組みです。アプリがインストールされない限りは、何度広告が表示・クリックされても課金されません。アプリのインストールが目的の場合に有効な方法なので、余計な費用を掛けることなく、費用対効果が分かりやすいという点がメリットです。しかし、自社サービスに興味のないユーザーに対して何度も広告が表示されるとイメージを落としてしまいます。掲載前に広告の表示回数や表示期間を検討し、鬱陶しい広告というイメージを避ける配慮が必要です。
2-6.フォロー課金
フォロー課金とは、Twitter広告の課金方式の一つです。配信した広告を経由してフォロワーが獲得できたタイミングで課金されます。リード獲得やブランド認知のために、フォロワー数を伸ばしたいという場合に向いています。「いいね」や「リツイート」など、フォロー以外のエンゲージメントには課金されません。
3.流行りのSNSの費用目安
こちらでは、SNSの代表格ともいえるInstagram広告、Facebook広告、LINE広告、Twitter広告、Tiktok広告の費用目安について、詳しく解説していきます。
3-1.Instagram広告の費用目安
Instagramは、写真や動画を共有するコミュニケーションアプリで、日本では「インスタ」という愛称で親しまれています。2017年には、「インスタ映え」という言葉が新語・流行語大賞を受賞するなど、多くの人に認知されているのが特徴です。Instagram広告では、広告配信の目的によって課金方式が決まりますが、多くの場合はインプレッション課金です。しかし、目的によっては、クリック課金、動画再生時間課金、インストール課金も利用可能です。ターゲットや広告の掲載方法などを決定した後に金額を入れることで、どのくらいのユーザーに訴求可能かが表示されます。
Instagram広告について詳しく知りたい方はこちら
3-2.Facebook広告の費用目安
世界で最も多くの人が利用しているといわれるFacebookは、テキスト・画像・動画などを投稿できる個人向けページのほかに、企業向けアカウントの「Facebookページ」もあります。Facebookは日本でも多くのユーザーを有しますが、特に30代、40代やビジネス層に人気のSNSです。Facebook広告では、インプレッション型、クリック課金を中心に動画再生時間課金、インストール課金が採用されています。配信場所を細かく設定できるのが特徴で、フィード、ストーリーズ、インストリーム、検索、インスタント記事などのあらゆる場所に広告を表示できます。Facebook広告は、最低100円と少額からでも出稿可能です。ただし、金額が小さいと効果の検証が難しくなります。
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3-3.LINE広告の費用目安
LINEは、日本で最も多くの人が利用しているSNSといわれており、個人やグループでメッセージのやり取りを楽しむ機能が人気です。グループチャットやタイムラインなど、不特定多数の人とのやり取りをできる機能もあるため、SNSの一つとして分類されています。LINEユーザーは、年齢層が広いのが特徴です。広告の配信先は、トークリスト上部、LINE VOOM、LINEニュース画面などですが、LINEニュースは利用者が多いため、多くの人に訴求できるというメリットがあります。LINE広告の課金方式は、クリック課金とインプレッション課金です。予算に応じた広告運用が可能で、クリック課金は24~200円程度、インプレッション課金では1,000インプレッションで400~650円ほどが相場となっています。
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3-4.Twitter広告の費用目安
Twitterは、幅広い年齢層から支持されているSNSで、最新の情報や流行に敏感なユーザーが多いのが特徴です。リツイートなどの機能を利用した拡散力の高さに定評があるSNSとなっています。Twitter広告では、多様な広告クリエイティブが利用でき、文字のみのツイートはもちろんのこと、単一画像や複数画像、動画を付けることも可能です。Twitter広告は、フィードへのテキスト、画像、動画広告のほか、枠で囲まれたカルーセル広告やモーメント広告の利用もできます。課金方式の種類も豊富で、目的に応じた利用が可能です。広告費用が比較的安く、相場はクリック課金で1クリック36円程度、インプレッション課金は1,000回表示された際に400~650円程度となっています。
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3-5.TikTok広告の費用目安
TikTokは、15秒ほどの短い動画を作成・投稿できるSNSです。倍速や特殊効果を活用することによってユニークな動画を作ることができます。流行りの歌やダンスに合わせた投稿が多く、話題になると多くの人が真似をして拡散される文化があります。個人での投稿が目立ちますが、ビジネス目的で利用する場合も多く、インフルエンサーが企業とコラボするなど、企業も積極的に活用しているSNSです。アプリ起動時に表示される起動画面広告やおすすめに表示されるインフィード広告がメインですが、企業がテーマを準備し、ユーザーが関連動画を投稿するチャレンジ広告という独自の広告もあります。TikTok広告では、起動画面広告がインプレッション課金で、インフィード広告は独自のシステムを採用しています。インプレッション課金は、1,000インプレッション毎に770円程度、インフィード広告は42万円以上からの運用が可能となっているので、目安にすると良いでしょう。
4.SNS広告の運用を代理店に依頼する場合の費用
自社にSNS広告に詳しい人が居ない場合や、既に運用しているSNS広告の効果を高めたい場合は、SNS広告の代理店に依頼するのもおすすめです。代理店では、広告出稿のための設定や、アカウントの作成・運用代行、広告クリエイティブの作成などを代行してくれます。代理店に依頼する場合は、広告費用のほかに代理店に支払う広告手数料が必要です。こちらでは、広告手数料の3つのパターンについて詳しく解説していきます。
4-1.手数料型
手数料率型の場合は、広告費用のほかに、広告費用の15%~25%の代理店手数料が必要です。例えば、100万円の広告費用の場合、広告手数料率が15%の場合は15万円、25%の場合は25万円が掛かります。広告代理店に支払う手数料が定額型に比べて割高になる傾向があるので、広告運用に力を入れてもらいやすいという特徴があります。
4-2.定額型
定額型は、広告費用の規模に関わらず、広告手数料が一律になっています。ただし、広告費用50万円までは〇〇円、50万円以上100万円までは〇〇円と、広告費用のステージによって広告手数料を増額していくのが一般的です。同じステージの範囲内であれば、広告費用が増減しても広告手数料が変わらない仕組みになっています。多少広告費用が増えたとしても広告手数料が変わらないため、手数料型に比べて安くなることもあります。
4-3.成功報酬型
成果報酬型の場合は、事前に資料請求、会員登録、購入などの成果(CV)に応じた報酬を決めておき、1カ月ごとに代理店に支払う手数料を算出する方法です。ユーザーが売り上げに直結するような行動を取るまでは料金が発生しないというメリットがありますが、CVの条件が難しいほど成果発生時に支払う報酬が高くなるという傾向があります。
5.SNS広告の費用対効果の計算方法
SNS広告は、費用を投じれば表示回数が増えます。そこで、SNS広告の費用対効果を分析・改善していくために必要な2つの指標をご紹介します。
5-1.顧客獲得単価(CPA)
CPAとは、顧客1人を獲得するのにかかる費用を算出する指標です。計算式は以下のとおりです。先にもご紹介したとおり、CV(コンバージョン)とは、資料請求、会員登録、購入などの成果を表します。
顧客獲得単価(CPA)=広告費用÷CV(コンバージョン数) |
例えば、10万円の広告費用を掛けて200件のCVが得られた場合、CPAは500円です。1件のCVを得るために500円の広告費用が掛かっていることがわかります。つまり、CPAの値が低ければ低いほど、費用対効果は高くなると考えられます。
5-2.広告の費用対効果(ROAS)
ROASとは、広告の費用対効果を算出する指標です。投資した広告費によって、どれだけ売り上げを増やしたかが分かります。計算式は以下のとおりです。ROASは%で表します。
広告の費用対効果(ROAS)=広告経由の売り上げ÷広告費×100 |
ROAS数値が100%を下回れば赤字です。例えば、広告経由の売り上げが100万円で広告費が40万円だったとすると、ROASは250%となるので費用対効果が高いことが分かります。しかし、広告費に100万円費やしたにも関わらず、広告経由の売り上げが40万円の場合は、ROASが40%となるので赤字であることがわかります。赤字になった広告は、改善か撤退かの判断が必要です。ROASは、売上に対する広告の貢献度が分かりやすいという特徴があります。ROASを出すことによって、効果の高い広告に予算配分を増やし、低い広告は撤退を決めるなどの対策が取りやすくなります。
6.SNS広告で費用対効果を高める方法
広告の費用対効果を算出することによって、広告配分が決めやすくなることが分かりました。では、SNS広告で費用対効果を高めるにはどのようにしたら良いのだろうと疑問を持つこともあるでしょう。こちらでは、SNS広告で費用対効果を高める3つの効果的な方法をご紹介します。
6-1.PDCAサイクルを回し、クリエイティブを改善する
SNSは、注目されれば大きな話題になりやすいという特徴があります。今後の戦略を練るためにも、どのような広告がSNSユーザーに注目されたのか、あるいは全く注目されなかったのかなどを広告配信後に分析することが大切です。SNS広告に関わらず、改良や改善を必要とする部分を見つけるには、PDCAサイクルを回すのが効果的といえます。問題点が見つかったら、すぐにクリエイティブを改善していきましょう。SNS広告におけるPDCAサイクルは以下のとおりです。
Plan(計画) |
・広告に対する達成度合いや最終目標などを設定する ・改善する場合は、解決したい部分や課題を明確にする |
Do(実行) |
・計画した目標に合わせた施策を実行する ・進捗度や結果を記録する |
Check(検証) |
・目標が達成できたか、計画通りに施策を実行できたかを検証する ・良い結果でも悪い結果でも要因を分析し、数値化する |
Action(改善) |
・新たな問題や課題が見つかれば、次の投稿に生かす ・効果が期待できる施策については継続し、改善が必要な点は修正する ・改善しても施策が上手くいかなければ変更や中止を検討する |
6-2.ターゲットを狭めすぎない
SNS広告は、精度の高いターゲティングができる点が魅力ですが、ターゲットを狭め過ぎるとさまざまな弊害が出てきます。特に、SNS広告の開始当初のターゲティングは、予測に基づくものであり、完璧なターゲティングではありません。ユーザーが必ずしも必要項目を正確に登録している訳でもないので、ターゲットを細かくし過ぎると登録していないユーザーを除外してしまう恐れがあります。
6-3.目標設定を必ず行う
PDCAサイクル部分でもご紹介しましたが、目標は必ず設定しておきましょう。目標を明確にしていないとゴール設定ができません。ゴール設定とは、広告運用での最終ゴールを設定することです。例えば、広告の目的が認知度拡大であれば、フォローの増加やWebサイトへの誘導がゴールです。顧客獲得単価(CPA)を算出すれば、広告が効果的だったかそうではなかったかがわかります。CPAが目標CPAよりも高くなってしまった場合は、広告運用の見直しが必要です。
7.まとめ
SNS広告は、ほかの媒体に比べてユーザー数が多く、視認性が高いものが多いので費用対効果が高い広告です。ただし、SNSの種類や広告が掲載される場所によっては、自社の商品やサービスと相性の悪いものもあります。今回は、SNS広告の課金方法や費用相場、効果を高める方法について解説しました。SNS広告を始めたいという場合や既に運用している広告の効果を上げたいという場合に、活用してください。

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